甘え下手
「俺さ……最初は比奈子見て、俺が傍にいてやりたいって思ってたけど」

「はい」

「そうじゃなくて、俺が比奈子に傍にいて欲しかっただけかもしれない」

「はい。私が阿比留さんをいっぱい幸せにしますね」

「頼もしいね、比奈子ちゃん」


阿比留さんが頭をこつんと私の頭の上に乗せた。

幸せだなーと思う。


そして阿比留さんも同じように幸せだと思ってくれればいいと思う。

眠れない夜も全部飛び越えて。


自分が幸せになりたいんじゃなくて、阿比留さんと二人で幸せになりたい。


「愛してる、比奈子」


それは初めて聞いた彼からの愛の言葉。

水平線にキラキラ輝く夕陽の美しさと共に、きっと永遠に私の中の宝物になるだろう。
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