甘え下手
妹の代わりに私に生贄になれと!?


大体、その言い方が何かイヤだ。

確かに阿比留さんと沙綾が仲良くするのは心配だけど、それじゃまるで阿比留さんが好きで、沙綾にヤキモチやいてるみたいじゃないか。


「阿比留さんって、自信過剰ですね……」

「比奈子ちゃんは自信なさすぎじゃね?」


ギクリ。

阿比留さんはたまにズバッと真理を突いてくる。


「俺、昼から外回りだからそろそろ行くわ」

「ク、クリーニング代は……!」

「だから現金ならいらないって」

「えっ……」


また後ろ姿の手ひらひら、だ。

なんで毎回、また今度があるんだろう。


現金以外のお詫びの方法……。

やっぱり身体で……!?


「比奈子、いつの間に阿比留さんと仲良くなったのよ」

「ヒッ」


阿比留さんがいなくなるのを見計らったかのように、建物の陰から秋菜が声をかけてきた。

どうやらのぞいていたらしい。


「秋菜、正しいお詫びの仕方ってなんだと思う……!?」

「はあ!?」


身体でなんて払えないし、妹を差し出すわけにもいかないし、現金は受け取ってもらえないし!

飛びつくように秋菜の両肩をつかんで、ガクガクと揺らしながら、一連のできごとを打ち明けて、意見をあおいだ。
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