甘え下手
「比奈子に会うの必死で誕生日プレゼントとか用意してない……。ごめん」

「いいです。今この瞬間が最高のプレゼントです」

「じゃあプレゼントは俺ってことで」

「ぷっ、自分で言っちゃうところが阿比留さんですよね」

「ちなみに返品きかねーから。一生大事にして」

「え?」

「何?」


不思議そうに問われてふるふると首を振った。

だってそれって……。


聞きようによっては、プロポーズみたいに聞こえるなあ……なんて。


恥ずかしいから阿比留さんにはとても言えないけど。


「はい、一生大切にします」


今この瞬間だけでもそう思ってくれたとしたら、それだけでもうすごく嬉しいから。

涙声で精いっぱいの気持ちを伝えた。
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