甘え下手
今はまだ一人でプレゼンを任されることはないけれど、近い将来のプレゼン要員を育成する目的で連れていかれるんだろう。

残された私は地味な事務仕事。


適材適所ってものがあるから、そこに文句ばかり言ってられないけれど。

だけどセミナーに出て、精密機器の中身を勉強させてもらっているのだから、それを役立てるような仕事をしなければいけないという、焦りだけは私にだってある。


参田さんと私じゃ、学んできた土台が違うから、比べて落ち込んでばかりいても仕方がないけれど。


せめてしっかりした報告書を作成しようと調べ物をしながら書いていたら、かなりの時間を費やしてしまった。

明日はまた展示会があるから、パネルの準備をしなければいけないというのに。


参田さんのスケジュールをチェックすると、ちゃっかり出張先から直帰になっている。

気がつかないうちに明日の準備まで押しつけられたらしい。


その事実に気づいて一気に脱力する。


今から一人で準備していたら残業は確定だから、一旦休憩しようとフロアを後にして、自販機のある休憩コーナーへと向かった。


フロアを出るときに横目でチェックすると、櫻井室長はもう席にいなかった。

会議かな、出張かな。


余計に今からの残業が億劫になってしまう。
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