甘え下手
「比奈子ちゃん、帰るよ」
「はい……」
この間阿比留さんと飲んだ時よりもさらに二杯飲んでみたけれど、帰るときにも私の記憶はしっかりとあった。
やっぱり私が酔いつぶれることはないらしい。
「ごちそうさまでした。鴨、美味しかったです」
「ハハ。楽しかったけど、接待の時はこんな飲んじゃダメだぞ?」
通り一遍のお礼を言って、頭を下げて席を立つ。
ああ、これで終わりなんだと悟ると、どうしようもない虚しさが自分を襲った。
結局、私、何もできてない。
今日も、自分の想いを伝える前に壁の高さを知って、逃げ出してしまった。
櫻井室長が会計をしてくれている間に手洗いを済ませて、お店の出口で合流した。
さすがにちょっと足元がおぼつかない。
「おいおい、大丈夫か」と櫻井室長が苦笑しながら腕をつかんで支えてくれた。
頭の中に同じ光景がフラッシュバックした。
「あれ、この間も……」
「はい……」
この間阿比留さんと飲んだ時よりもさらに二杯飲んでみたけれど、帰るときにも私の記憶はしっかりとあった。
やっぱり私が酔いつぶれることはないらしい。
「ごちそうさまでした。鴨、美味しかったです」
「ハハ。楽しかったけど、接待の時はこんな飲んじゃダメだぞ?」
通り一遍のお礼を言って、頭を下げて席を立つ。
ああ、これで終わりなんだと悟ると、どうしようもない虚しさが自分を襲った。
結局、私、何もできてない。
今日も、自分の想いを伝える前に壁の高さを知って、逃げ出してしまった。
櫻井室長が会計をしてくれている間に手洗いを済ませて、お店の出口で合流した。
さすがにちょっと足元がおぼつかない。
「おいおい、大丈夫か」と櫻井室長が苦笑しながら腕をつかんで支えてくれた。
頭の中に同じ光景がフラッシュバックした。
「あれ、この間も……」