甘え下手
「比奈子ちゃんはお前とはキャラが違うんだから、あんまりイジメないでやってよ」
「……どっちがだ」
仕事押しつけといて無自覚なのかこの男は。
自販機の前でブツブツ文句を言って、ボタンに八つ当たりしてた百瀬比奈子の姿を思い出して、少し笑えた。
そんな俺の表情を運転しながらも横目で確認した仁は、意外そうに片眉を上げた。
それに気づいて、緩んだ口元を引き締める。
だけど意外に鋭いこの男には伝わってしまったようで、嬉しそうに絡んできた。
「あれ、もしかして比奈子ちゃん気に入ったの? 反発から始まる恋ってヤツ!?」
「……ねーだろ。第一、向こうには愛しの室長様がいんじゃん」
「あー。そうだったか、ザンネン」
そう言って仁は前を向いたまま大げさにガックリと頭を下げて見せた。
「なんで残念だよ」と聞くと、「お前がマジメに恋愛するなんて想像つかないから、見てみたかった」と笑った。
反発から始まる第一印象が興味に転換したのは、わりとすぐだった。
俺の言うことにキョドったり、真に受けたりいちいち過剰反応するから。
途中から、イラついて絡んでるんじゃなくて、面白くてからかってる自分がいた。
「……どっちがだ」
仕事押しつけといて無自覚なのかこの男は。
自販機の前でブツブツ文句を言って、ボタンに八つ当たりしてた百瀬比奈子の姿を思い出して、少し笑えた。
そんな俺の表情を運転しながらも横目で確認した仁は、意外そうに片眉を上げた。
それに気づいて、緩んだ口元を引き締める。
だけど意外に鋭いこの男には伝わってしまったようで、嬉しそうに絡んできた。
「あれ、もしかして比奈子ちゃん気に入ったの? 反発から始まる恋ってヤツ!?」
「……ねーだろ。第一、向こうには愛しの室長様がいんじゃん」
「あー。そうだったか、ザンネン」
そう言って仁は前を向いたまま大げさにガックリと頭を下げて見せた。
「なんで残念だよ」と聞くと、「お前がマジメに恋愛するなんて想像つかないから、見てみたかった」と笑った。
反発から始まる第一印象が興味に転換したのは、わりとすぐだった。
俺の言うことにキョドったり、真に受けたりいちいち過剰反応するから。
途中から、イラついて絡んでるんじゃなくて、面白くてからかってる自分がいた。