腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
山口に引きずられるようにして連れて行かれた現場に、俺は度肝をぬかれた。
辺りは、血まみれ。
意識を失って白目ひんむいた野郎共が床にゴミのように転がっていた。
多分、岩動の血は一滴も無いだろう。
岩動は、不適にニヤリと笑っていたから。
「ふ、ふざけンじゃねェッ!!女ごときがァッ!!」
唯一この場に立っていた、男が叫んだ。
それも、怯えからか分からないが声が震えていた。
岩動と男は俺と山口が来たのに気づいていない。
「女ごときがァ??…ふざけんじゃねーぜ、お前ら不良ごときが生きていていいワケねーだろ、どうせギリギリで卒業しても社会の底辺で暮らすだけだろ、クズが」
岩動の瞳と、岩動の持っている何かが強い光に反射する。
持っているのは、鋭利なモノで、ペンのようだった。
女とは思えない毒舌ぶりと口調。
ニヤリと笑う口元には犬歯が覗いていた。
血まみれにも関わらず、笑う女に俺は背中に嫌なモノが走った。
「Gペンと丸ペンはなァ、喧嘩に使うモンじゃねぇんだ…ッぜッ!!!!」
岩動の足が、バネのようで一瞬にして男の懐まで追い詰める。
両手に持っているのはやはり、岩動のいう通り何かのペンなのだろうか。
ペン先が当たらないように、手の平で男の胸を強く押すと、男はバランスを崩して床に寝転ぶ体制に。
俺達が息を飲む思いで見つめていると。
ザク、と音がしたと思うと。
男の左頬ギリギリを通って地面に突き刺さった。
「ヒイィ…ッ」
男は何も言えず、掠れた悲鳴が出るだけ。