腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「そんなの………ッ」
俺に聞くな、って言うのをやめた。
やめざるを、得なかった。
そんな顔で訴えられたら…。
ほたるの後頭部を、優しく撫でる。
ゆっくりとほたるの顔は俺の胸板に近づいてくる。
はだけた胸板に直接、荒い呼吸と湿り気が伝わる。
多分、泣いている。
ほたるは俯いて精一杯隠しているようだが。
時折、ほたるの背中が揺れる。
俺も、ほたるのようにして本気になって泣けるような夢があるだろうか??
ほたるは、夢じゃなかったっけ。
もう、漫画家になるという夢を実力で実現させていた。
今、その実現した現実に精一杯力を振り絞って泣いているのだ。
何か、力になりたい。
微力な俺だけど。
やっぱり好きな女の力になりたい。
「俺でいいなら…」
そう言ったら。
ほたるは顔をゆっくり上げて俺を見つめていた。
その瞳は俺を誘っているようだったがなんとか理性で抑えこんだ。
ほたるが目をつむって背伸びをしたから、俺は理解してほたるの両頬を両手で包み込んだ。
ほたるのほっぺたは、小さかった。
俺の手には余るほど小さくて。
お互いの息がかかる所までくると、心臓はいっきに駆け足になる。
唇に不思議な感触が広がる。
その瞬間、頭が真っ白というよりピンク色になって官能的な気分になった。
一度目は、触れるだけのキス。
二度、三度となると唇はただお互いを求め、貪るようなキスとなっていった。