腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
気がつくと、俺の胸板より少し下は締め付けられる感触がした。
ほたるが、俺に抱き着いていた。
下がった眉毛と濡れた睫毛に赤くなった目。
まさか、どっかで泣いていたのか。
てゆうかこの感触はリアルだ。
現実だ。幻覚じゃない。
ほたるの体温が、薄いスチュワーデスのコスプレごしにじんわりと伝わってくる。
「まだ、分かんねぇか…??善哉…」
いつもみたいに男みたいな喋り方なのに、いつもより言葉に艶が帯びていた。
瞬間、俺の背中はぞくりと痺れる。
「いや、ほら、あの…」
今度は俺がモジモジする番ってか。
「男のクセにモジモジすんじゃねーよ」
ほたるには半ば呆れられている。
「わぁーってるよ…す、すすすす…き」
緊張しすぎて、最後の言葉が出てこなくて。
「…え、なんて??」
ほたるも笑いながらワザと聞き返してくる。
「何回も言わせんじゃねーよ」
一応眉間にはシワを寄せておくけど口は今にも緩みそう。
抱き合ったのは、お互いのファーストキス以来。
まぁほたるが、あれが俺のファーストキスって知ってるかは知らないけど。
俺の両手はまた、ほたるの両頬を包む。
こんなにあまる小さい頬っぺたは本当にかわいい。
ほんのりピンク色で、桜餅みたいだった。
微かに艶を帯びた吐息が手にかかる。
桜色の唇は誘うように濡れ光っている。
俺の視界は、気がついた時には真っ暗になっていて、唇にはいつぞやの感触が広がっていた。
今、このキスは何よりも甘かった。
まるで唇に何か蜜でも塗っているかのようで、いつまでもその蜜を吸い付き、舐めて、貪って、食らいついていたかった。
お互い名残惜しそうに離れる唇には銀色の糸が紡がれていて。
ほたるの唇には、俺のかほたるのか分からなくなった涎が口からあふれ顎までつたっていた。
「…さすが紅サンッス、真昼間からこんなハードなキスするなんてアメリカ人みたいッス」