腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?




「…はぁ、冗談キツイって…」

俺はもう頭が痛くなりそうだ。


わざとらしく、手の平を額にあててため息をつく。

今、エレベーターに乗っている。


「だ〜か〜ら〜冗談じゃねぇって!!」

まだ言うほたるを横目で見ていると、一階についた。

あの男に文句を言ってやろう。


『おはようございます』

ロビーまで歩くと、その男がまたニコニコ笑顔で立っていた。


俺が文句を言う前に。

口を開いていたのはほたるだった。


「いぶ、成長したな!!」

…??


ほ、ほたるちゃんが…だだだだだ、抱き着いてるゥ!!!???

確かにほたるは人懐こいし男を男として見ていない所はあるけど。


抱き着く、まではしなかった。


…だったら。

今、ほたるがしてることは??


…あぁぁああ、最近ホントッ俺どうかしてる!!!!

『そうでしょうか??』

「おぅ、これならもっとイイのができるぜ


男の方はニコニコ笑顔から変わらないが、ほたるはやけに嬉しそうだ。

なんか、俺がおいてかれてるような。



「あのサ、」

俺は、つい。

ほたると男を割って入った。


…堪えれねぇ。


…情けねぇ。

色んな感情が、俺の中でとぐろをまいている。

「ほたるの家ここ全部って嘘だよな??」


へらり、と俺は無理矢理の笑顔を作った。

『本当ですよ。ここは、ほたる様のご両親がほたる様に誕生日プレゼントにあげたマンションでございますから』


誕生日プレゼントて。

規模が違いすぎるだろ。


俺なんかドラクエで喜んでたぞ。


…やっぱり、コイツのほうがほたるの事を知ってンだな。

…やっぱり、俺はほたるの事なんて何も知らねぇンだな。


何でだろう。

いつもなら大声をあげて驚くのに。


別の何かが、俺の心を支配していた。

『…ほたる様』

「んぁ??」


『只今、8時35分26秒です』

「あ、そ。」

『今日は月曜日です』

「あ、そ。………はぁっ!!!???」


俺もバッ、とほたるを見る。

後5分弱で学校に行かないと遅刻する。


最悪な事に制服でもない。

「ちょ、善弥!!どぉすんだよ!!!」


わたわたと慌てるほたる。

俺も頭がパンクしてしまいそうだ。

『ほたる様制服です』


「ありがとう!!」

ほたるは急いで私服の上から制服を着る。


「チャリ、チャリはあるか!!」

『裏にございます』

「チャリでぶっ放して俺ン家寄ってから学校行けばなんとか間に合う!!!!」


「わ、わかった!!!」

くそ!!!!


最強ヤンキーの俺は今遅刻せずに皆勤賞を狙ってるのに!!!!




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