腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「え〜。こ〜こ〜かっと。」
アルバムだけがしまわれている大きめの本棚の扉を、開く。
二段層になっていて、上は普通の本棚だが下はアルバムとか入る、大きめの観音開きのスペースがあって。
そっちを開けると、独特な匂いが鼻をついた。
俺は眉をひそめる。
匂いもあるが、アルバムの多さにも。
そういえば、両親共に写真を撮るのが好きだったな。
離婚してからは、アルバムがこの家に増える事は無くなった。
一冊の、チェック柄のアルバムを取り出す。
ずしりとした重さは存在感がある。
まぁ、兄貴に頼まれたアルバムではない事は分かっている。
寄り道的なアレだ。
パラパラ、とめくっていく。
兄貴がちっさい頃とか。
だんだん兄貴が大きくなって、俺が誕生している。
兄貴が一生懸命あやしている所や、その時飼っていた犬を俺がいじめている所。
もっとページをめくっていくと、藍が誕生していた。
俺が藍を一生懸命あやしていて、やっぱり兄弟だな、って思った。
兄貴が棚の上の物を必死で取ろうとしている所や。
俺が隅っこでいじけている所。
藍が半ベソで仁王立ちをしている所。
すると山口まで、出てきた。
空手の服を着ている兄貴と藍が山口をいじめていて、山口が泣いている所。
頭には残ってない様な事ばっかりだったが。
黄ばんだ写真は、しっかりと残っていた。
最後のページまでいって、閉じる。
続きを探すために、アルバムを指でなぞって探す。
ふ、と思った。
撮っているだろう人物、両親は一度も写っていないのだ。
不思議に思いながらも、続きのアルバムを見つけた。
また、ページをめくっていく。
俺の誕生日、
藍の誕生日、
兄貴の誕生日。
笑顔ばっかだったり、泣いてたり怒ってたり汗だくだったり泥んこだったり。
そのアルバムの、1番最後。
兄貴、藍、俺の順番で前に眩しいくらいの笑顔でピースしていて、
そんな俺達を包み込むようにしてまた眩しいくらいの笑顔を浮かべる親父、その隣に優しく笑うおふくろ。
家族全員の写真は、それ一枚だけだった。