腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「うぃ〜す、おはよう、ほたる」
毎日のごとく、玄関前で忠犬の様にまっていたほたるを呼ぶ。
ほたるはこっちを向いて、おふくろと俺に挨拶をした。
おふくろも、いつもみたいに優しく微笑んでいた。
二人で、並んで歩きながら登校する。
ほたるは相変わらず腐った漫画の話や、昨日の阪神について語る。
そんな俺達をみるおばちゃん達が井戸端会議の話題にするのももはや日常。
そんな日常が、幸せだったりする。
「あのサ、ほたる」
「んにゃ〜??」
興奮して半歩ぐらい先を歩いていたほたるを呼び掛ける。
ほたるは顔を少しだけ俺の方を向く。
「二週間後、おふくろと親父の結婚記念日なんだ」
ほたるは、えっ、と声をあげた後バッとこっちを向いた。
「何でもっと早く言わなかったんだよ!!」
ほたるが、俺の両腕をがっしりと掴んでそう言った。
な、何でって…。
俺だって知ったの、昨日だしな…。
何から説明しようか、言葉を選んでいるとほたるがまた口を開いた。
「サプライズしようぜ!!!」
悪戯っ子のような。
楽しそうに満面の笑みを浮かべるほたる。
そんなほたるに俺はキュンキュンきていたりして。
そうだな、なんて適当な返事を返しておいて。
…サプライズ、か。
「サプライズっつってもなぁ」
あの二人にサプライズだなんて考えた事もなかった。
「ん〜と、何がいいんだ」
ほたるも、考えこむ。
「…ヨリ、戻させるとか」
さっきからずっと、思っていた事。
本当にそんな事していいのか、心の中でかなり葛藤していた。
一応、言葉にしてみる。
「…大丈夫なのか??」
「あぁ見えて二人共お互いの事好きなんだぜ??」
俺は口のかたっぽだけあげる。
俺としても、また、家族皆で居たいつーか笑いたいっつーかなんつーか。
「じゃあ、そうしようぜ」
また笑うほたる。
普通なら、軽く決めるなぁ…なんて思うんだけど。
心ン中でずっと踏み止まっていた俺にとっては救いだ。
…楽しみ、だな。