腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「え〜と。これが古代ローマで…」
今の授業は、美術。
ローマだなんだとワケの分からぬ事を言っている。
白い銅像の何がいいのやら。
俺はビリビリの教科書を、閉じてため息をつく。
「でもでも、どうやって二人を会わせるんだ??」
そうだ。
今は、美術の授業なんかより、そっちの方が俺的には大事なんだ。
兄貴に、電話でもしてみるか。
俺が携帯を開き、電話帳から兄貴を探す。
「こらこら、紅クン、授業中だよ」
俺を注意するよぼよぼのじぃさん(先生)に、山口達は叫ぶ。
「うるせぇッス!!紅サンに偉そうな口きくんじゃないッス!!!」
これをきっかけに、寝ていた奴が9割も居たのに全員起きて騒ぎ出す事となった。
今コールをかけている俺は片耳だけ抑える。
ほたるはもちろん、便乗してはっちゃけている。
『-----ッ、ンだ』
昨日とは違う、声だ。
どうやら酒は飲んでない、といってもまだ朝9時前なのだから当たり前か。
「あのサ、ちょい相談してぇンだけど。」
そう言ったら、それはそれはけだるそうな返事がきた。
相談の説明をしようとしたら、先に兄貴が口を開いた。
『つか、そっち煩い…二日酔いなンだよコラ』
いきなり理不尽な理由で怒られた。
いやいや、二日酔いとか兄貴が悪いんじゃん。
煩いのは、俺悪くなくね??
そんな、子供みたいな言葉はぐっと飲み込んだ。
どうせ兄貴の事だ。
なんやかんやで俺を言い負かしてしまう。
俺は仕方なくほたる達に煩い、と言う。
少しだけ馬鹿騒ぎする声がおさまる。
「で、相談っつーのはな、二週間…つってもあと13日後、親父とおふくろの結婚記念日でさ…」
そこまで言うと、兄貴は最初けだるそうに聞いていたけれど、興味を持ち出した。
「ヨリを戻させようと思って…サプライズで。」