腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「わぁっ!!善弥、かたつむり広場だぜ!!」
通る広場全て動物にちなんでいて。
その広場にある遊具は全部、その動物と同じ形をしていた。
…ん??
てゆうか、何でほたるがこんなにとんぼ公園に詳しいんだ??
「おい、ほたる…お前サ、転校してきたのによく知ってンな」
そう言ったら、ほたるはかたつむり広場の方を向いたまま肩をギクリと跳ねさせた。
そうか??と聞くほたるの声は不自然にも裏返っていて。
「一回、ここに居てサ…んで向こうに転校して、また戻ってきたんだよ!!」
かなり焦っているほたる。
俺はこれ以上、詮索してはいけないような気がして。
何も言わなかった。
今度は、タコ広場。
タコの8本足のそれぞれ違う滑り台があって。
ちっちゃい子供達が、はしゃいでいた。
さっきのかたつむり広場は遊具が少なかったせいか、子供はあまりみかけなかったが。
こっちは8種類もの滑り台があるせいか、子供達がごった返していた。
押す子供に押される子供。
泣いてしまう子まで居るほど。
さすがに日曜日、子供だけでなく近くのバーベキュー用広場で騒ぐ大人も居た。
そんな中に、ヤンキーバリバリの俺達が行くと。
当然大人はまるでゴミを見るような目をしてくるし。
子供は怯えている。
…あぁ、こんなの慣れたつもりだったんだけどな。
根は優しくて打たれ弱い山口達も、こんな敵意剥き出しにされたら、先ほどのテンションも落ちていた。
が。
ほたるだけは、違った。
「きゃほぉぉう!!!チビ共!!私も混ぜろォォオオ!!!!!」
目を離したスキに、タコの滑り台に全力疾走していた。
「ほたるぅぅうう!!??」
空気読めごるぁぁあ!!!!!
明らか皆様早くどっかいけや雰囲気だしてただろうが!!!
何ガキに向かってつっこんでんだぁぁぁああああ!!!!
「きゃぁああ!!怖いお姉ちゃんがこっちにくるぅ゙!!!」
ガキ共、泣きながら全力疾走!!!!
そりゃそうだ!!!
慌ててほたるの名を叫び、呼び戻そうとするが。
泣き叫ぶ子供の声に掻き消され、届かない。
すると、一人の男の子が。
滑り台の上に立って。
「へへっ!!ここまで来てみろってンだ!!」
生意気に笑う男の子に、母親らしき人が「マサルちゃん!!」と叫んでいた。
ほたるは、その男の子を見てまた笑顔になって、滑り台の階段を駆け上がる。
あまりの速さ(多分ボルト超えている速さ)に、マサルという子は少しびっくりしていた。
そして、滑り台の上に上ったほたるは、ぐわっと両手を広げる。
「つ〜か〜ま〜え〜たッ!!」
ぎゅ、と両手を閉じた時にはマサルはもう滑り台を滑っていた。
「へへへっ!!捕まらないよーッ!!」
マサルは、べぇーっと舌を出して挑発した。
ほたるは滑り台の上で、今度は妖しい笑みを浮かべる。
「んひゃひゃひゃ☆私に敵うとでも思ってんのかぁ…??」
あの笑顔は、ほたるが少し本気を出す笑顔だ。
犬歯が、ギロリと覗く笑顔。
「一生言ってろー!!」
そうマサルは叫んで、また走りだした。