腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
「私もよしてー!!」
そう叫んだのは、黒髪の女の子だった。
マサルと同じくらいの年か。
「へへっ!!一緒に逃げようぜ!!!」
そう悪戯っぽく笑ったマサルは、その女の子の手をとって走りだした。
少し驚いていた女の子だが、また笑顔になって一緒に走りだした。
「おチビが何人増えようが私には敵わなねぇぜ☆」
そう言いながら、二人を追い掛ける。
「お前、名前はっ!!」
マサルが、女の子と走りながら聞く。
「ゆ、ユリです!!君は??」
女の子は、パッと見おとなしそうな、女の子だった。
マサルは、またへへっと笑って。
「俺はマサル!!ユリ、よろしくな!!」
「はいっ!!」
二人は、もっと強く手を握りながら、走り出した。
ほたるは、まてぇええと叫びながら追い掛けている。
俺達はただポカン、と見ていると。
子供達が一斉に、
「「「俺/私もよしてぇぇええ!!!!」」」
と言いながら、駆け出した。
「おぅ!!何人でも私が相手してやるぜ!!」
そう言うと、子供達は楽しそうにはしゃぎながら駆け出した。
父親、母親達は焦っていた。
ママ友の様な三人ぐらいのオバさんが、俺達に聞こえるようなひそひそ話をする。
「あのヤンキーと一緒に居た女の子よ??危なくないかしら…」
というような、内容。
俺達がいくら蔑まれようと、かまわねぇ。
だけど、ほたるまで言われるのは気にくわねぇ。
俺は、カチン、ときて。
「…てめぇらにほたるの何が分かるンだよ」
「紅サンっ!!」
山口達が、慌てて俺を止めに入る。
それを、俺は薙ぎ払う。
「おめぇに「ハイたーーっち!!!!!!」
俺の怒り声を見事に遮ったのは、ほたる。
多分、俺が怒ってんのに気づいたのか。
「善弥、もう捕まえたからなーッ!!」
んひゃひゃひゃ、と笑いながらまた子供達を追うほたる。
…なんだかんだで、空気読みやがって…。
だからつかめねぇんだよ。
「ほたる、待てぇ!!今のはナシだコノヤロー!!!」
「ナシにしてほしいならそんなに怒るなー!!んひゃひゃひゃ☆」
ほら、やっぱり空気読んでた。
ひょっとして、さっきもか??
「上等だ!!オイ、山口!!俺らも入ンぞォ!!!!」
そう言うと、山口達も叫びながら仲間に入った。
大人達は、呆れたように、口を緩ませながら。
さっきよりも賑やかな、タコ広場になった。