腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?
俺は息切れして、木の陰に入ってすでに休んでいた山口からアクエリを貰った。
マジほたるのスタミナは時々見直す。
子供達もそうだが、何時間もぶっ通しで走っている。
「捕まえたーッ☆」
ほたるが、何人目かの女の子を、捕まえる。
ほたるは子供相手にすら、容赦しないから子供達は数え切れないほど捕まえた。
が、ルールがあって、捕まえられた人がまだ捕まえられてない人にタッチされると逃げれる。
マサルとユリが先ほどから、捕まえられた子供を何人も解放しているからキリがない。
きゃいきゃいと子供の様にはしゃぐほたるを見て、俺はつい口が緩む。
しばらく休んで、また入ろうとすると。
「あの〜」
俺を呼び止めたのは、優しそうな夫婦だった。
「…どうしたんですか??」
俺も、常識人だから地域の大人にはキチンと挨拶もするし敬語は使うのだ。
決して前すぐ怒るジジイに怒鳴られた事がトラウマではない。
断じて、ないぞ、うん。
女の人が、ぺこりと頭をさげた。
「ありがとうございます」
いきなりお礼を言われた。
特別何かしたわけでもないし、ましてや知っている人でもない。
何かあったか、と頭をフル回転させて考えていると。
「ユリは、いつもは内気な子で…こんなに元気にはしゃぐ姿、初めて見まして…」
夫婦はどうやら、ユリの両親のようだ。
確かに、おとなしそうだもんな。
でも今はあんなにマサルと楽しそうにはしゃいでいた。
…でも。
「幼稚園でも、友達が出来なくて…本当にありが「待った。」
お礼をまた言おうとする、ユリの母親に俺はお礼を止めた。
違うんだ、お礼を言う相手は。
「俺じゃなくて、ほたるとあのマサルって子に言ってやって下さい」
俺は、柔らかく微笑んだ。
ほたる以外にこうして笑ったのはいつぶりだ。
ヤンキーで社会のゴミみたいな俺だけど。
ユリの母親は、少し赤くなった目をこすりながら、そうですね、と微笑んだ。
「マサル君には、ユリがお嫁に貰ってもらう時に言おうかしら」
優しく笑いながら、そう言った。
「あははっ、早すぎませんか??」
なんて、言う。
地域ってのも、夫婦ってのも、親ってのも、悪くねぇかも。
ユリの両親は、自分達が敷いていたレジャーシートに戻った。
すると山口が俺の隣に来て、
「紅サン超クールッス!!!」
と、目をキラキラと輝かしながらそう言う。
俺はただ静かに、笑った。
「…フン…だろ??」
「超クールッスぅぅうう!!!!!」