腐女子な漫画家に溺愛されチュウ!?




「丘ってここだろ??」

とっくに丘についていたマサル達は、はしゃぐのをやめた。


確かに、丘があった。

木は今俺が来たところ以外になく、あたり一面芝生が生えていた。


夕日が緑の草木をキラキラと照らし付けていて、優しい風が吹いていた。

全部全部に心うたれた。


おふくろの言いたい事が、分かったような気がした。

「ここは、『始まりの丘』です」


ユリが、どうやら丘の名前を知っているようだった。

始まりの、丘…。


確かおふくろが…。


『私たちの始まりは、そこだったのよ』


そう、言っていた。

丘の1番上には、何か建物が見えた。


とりあえずそこに行こうと歩いた時ぐらいに、遅れて山口達がついた。

山口達のおー、という感激する声を背中に浴びながら、建物に近づいた。


ボロい、レストランだった。

どう見ても経営はしていなさそうで、蜘蛛の巣だらけ。

手を繋いではしゃぐマサルとユリが、俺の隣に来た。


「ここは本当に久しぶりです…!!」

ボロいレストランを、嬉しそうに見上げるユリ。


「そんなにここ、詳しいのか??」

丘の名前も知っていたし、久しぶりって事は何度か来たことあるのだろう。


「はい!!ここ、昔おじいちゃんとおばあちゃんのお店でした!!」

…!?


思わぬ繋がり発見!!!!

俺とほたるは、顔をあわせる。


驚きを隠せない俺達に、マサルとユリはぽかん、としている。

「じゃあよ、来週、このレストラン貸してくれねぇか!?」


「貸すっつったって、この店ボロボロだぞ」

何を必死になっているんだ、といわんばかりにマサルは眉をよせている。


いいんだよ。

ガキには分からなくてな。


大人の事情だばーか。

ユリは、少し困ったように、手の平を頬にあてがう。


ユリの動作と言葉使いは、大人びていた。

いわゆる、女らしい、というのか。


まぁまだまだチビなユリには女らしさよりも子供らしさの方があった方がいいと思うけど。

ほたるには、見習わせたいものだ。

「お母さんに聞いてみたら分かると思いますけど…」


そうだな、優しそうなご両親だったし、案外いけるかも!!

よしよし、大分見えてきたぞ!!!!


場所は、この思いでのレストラン、

メニューは明日全員で作る!!!

明後日にはここ全部綺麗に掃除する!!!

幸運な事に、明日、月曜日からは4時間授業なのだ!!!


料理も、ほたるのあのロボットが教えてくれるらしいから、それは明々後日。


そしてその三日後の土曜日に、本番なのだ!!!






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