【短編】速度
高校時代、私たちは出会い、お互い惹かれあい付き合い始めた。
喧嘩することもあったけど、どちらからともなく仲直りしては笑いあった。
これからもずっと、隣をむけば俊介がいてくれる、そんな風に思っていた。
卒業し、俊介は就職、私は大学に。
気付けば俊介は仕事にのめり込み、学生の私とは違う、あっという間に大人になっていた。
私はまだ子供で、わがままいっては俊介を困らせた。
今思えば、あの頃、私と俊介は同じ速度で歩んでいなかった。私の知らない仕事をしている大人の俊介に、子供の私は不安や不満ばかり抱えていた。
いつのまにか空いた距離は、埋まることはなく私から別れを告げた。
大学を卒業し、社会にでた私は、よくも悪くも社会に揉まれ、少しは大人の女になったと思う。
仕事で辛いことがあった時、いつも俊介のことを思い出していた。
「大卒には負けたくないから、人より仕事するんだ」
俊介がよく言っていた。
あの頃の私は高卒と大卒の違いなんてあまりわからなかった。
でも現実を目にし、俊介の言っていた意味がわかった。
私は辛いことがあると
「俊介に負けないよう頑張ろう」
と思い乗り越えてきた。
自分から別れを告げたのに新しい恋は出来ず、いつか俊介以上に好きになる人ができるはずだと自分に言い聞かせ暮らしていた。
なのに、心の奥深くに隠していた気持ちが溢れだしてきた。
私は、俊介がまだ好きなんだ………
自分の気持ちに気付くと涙が溢れでた。
喧嘩することもあったけど、どちらからともなく仲直りしては笑いあった。
これからもずっと、隣をむけば俊介がいてくれる、そんな風に思っていた。
卒業し、俊介は就職、私は大学に。
気付けば俊介は仕事にのめり込み、学生の私とは違う、あっという間に大人になっていた。
私はまだ子供で、わがままいっては俊介を困らせた。
今思えば、あの頃、私と俊介は同じ速度で歩んでいなかった。私の知らない仕事をしている大人の俊介に、子供の私は不安や不満ばかり抱えていた。
いつのまにか空いた距離は、埋まることはなく私から別れを告げた。
大学を卒業し、社会にでた私は、よくも悪くも社会に揉まれ、少しは大人の女になったと思う。
仕事で辛いことがあった時、いつも俊介のことを思い出していた。
「大卒には負けたくないから、人より仕事するんだ」
俊介がよく言っていた。
あの頃の私は高卒と大卒の違いなんてあまりわからなかった。
でも現実を目にし、俊介の言っていた意味がわかった。
私は辛いことがあると
「俊介に負けないよう頑張ろう」
と思い乗り越えてきた。
自分から別れを告げたのに新しい恋は出来ず、いつか俊介以上に好きになる人ができるはずだと自分に言い聞かせ暮らしていた。
なのに、心の奥深くに隠していた気持ちが溢れだしてきた。
私は、俊介がまだ好きなんだ………
自分の気持ちに気付くと涙が溢れでた。