ルピナス
「何も彼にも!
授業中に電話掛けないでって何度言ったら分かるの!!」
弓月は勢う手つきで真澄に携帯を突き出す。
携帯には着信一覧が表示されていた。
「授業中はどうしてもマナーモードか電源を切るべきでしょう?
少なくとも僕に非はないよ。
ていうか弓月、『何も彼にもって』使い方間違えてるよ。
何も彼にもはね、全て皆、という意味であって…」
澄ました顔で延々と言葉の意味を教える真澄に、
弓月は苛立ちを感じる。