ルピナス
「ああそうですか。すみませんでしたね。
わたくし文系に向いてなくてですね、
国語なんて復習もしないしオールウェイズ3か4の無精者ですよ。」
怒る気力も失せてしまった弓月だが、
気を取り直して、藍色のガーデンホースに手を掛ける。
無意識にも、彼女はブツブツと文句を並べ始めた。
「大体ですね、真澄さん。いや、皇さん。
女子高生と絡んで何が面白いんですか。
特別許可かなんだか知りませんがね、絵を書きに来るんでしたら黙って花の絵でも描いてくださいよ。花壇係の私にちょっかい出しても何も面白くはないではないですか。」
「いや、そんな回りくどく言われても僕にとっては楽しみなんだよ。」
そんな傍から聞くといやらしさも混じった台詞を口にする皇真澄の方を睨むと、上機嫌なのか彼は目を細めてニッコリしていた。
「…私が面白くないんですけど。」
小声で呟き、弓月はわざと真澄にも聞こえるよう深く溜息を零した。