【短】Black Coffee
いつものコーヒーだと思っていた。
変わりない彼の淹れるコーヒーが飲めると思っていた。
「拓…これ…」
「…気に入らない?」
そんなことはない。
とても嬉しくて…涙がでそうになる。
彼が淹れてくれたコーヒーはいつも淹れてくれるのではなかった。
コーヒーに浮かぶ、ふんわりとした生クリーム
その上にキャラメルで絵が書いてある。
とても甘い匂いがいっぱいに広がる。
私は苦いコーヒーが大人になっても飲めなかった。
どうしても飲めなくて、いつもコーヒーには砂糖とミルクを入れていた。
ミルクを入れなくても、砂糖で甘くしてあれば飲むことができた。