青春ドラマチック。
私の気になる人。
そいつの名前は桐谷 涼。まぁ、人気者っていうか、ムードメーカー的なやつ。
涼とは中2になって、初めて同じクラスになった。
秋穂、美里、綾香、夏樹、私の5人は“いつめん”っていう、クラスの仲良しグループ。“いつものメンバー”だから、“いつめん”な訳。
涼たち男子のグループといつめんは、ノリがいい人ばっかで、地味な奴らがいないから、なにかと仲が良い。
♪~♪~♪~…
「んじゃ、休み時間の恋ばなターイム再開!」
「ねぇ!風莉ってさ、いっつも退屈~って顔してるけどさぁ、最近、春が来たって感じに見えるんだよね!」
「えぇ!まじかぁ。風莉にも春が来たかぁー。で、ズバリ、誰なの?」
秋穂…鋭いなぁ!!
「ねぇ!教えてよーっ。うちら、いつめんぢゃん!」
大切な友達。だからこそ、いえないの。
この気持ちは、私だけの秘密じゃなきゃはいけないんだよ。
「お!何だ、恋ばなかーっ?」
「俺、風莉の好きな人、知ってるぜ!…高瀬だろ!」
…は?
「いやいや。普通にあり得ないっしょ!頭大丈夫かよ?バカ涼」
「冗談に決まってるだろー。ちび風莉」
ったく。バカ涼。私の気持ちなんか知らないくせに。…ちょっといじってやろ。
「涼のー好きな人はぁー宮本さんだー」
「えっ!?涼、そうなのかよ!あの宮本?やめとけよー」
「ちげぇーよ!お前ら小学生かよ」
♪~♪~♪~…
「チャイムなったぞーっ!早く席につけ。授業、始めるからな」
「はぁーーーい」
涼と目があって、くすっと笑い合ってから席に着いた。
穏やかな秋の風。いつの間にか、爽やかなあいつの横顔をずっと見ていたいと思っていた。