撮りとめた愛の色
良く分からない感覚に半ば泣きそうになりながらも、急上昇する熱に、頬に朱が散るのだけは分かった。
顔が熱い。縫い止められたように動かない身体は今にも震えてしまいそうだ。きっと彼の指先が掠めた所を辿るように熱が帯びているに違いない。
とにかく、この触れ合いが少しでも早く過ぎ去るのを待つようにきゅっと目を瞑れば、カサリと髪へ差し込まれた彼の指先が音を立てた。
指が抜き取られるような感覚にそろそろと目を開ければ木の葉を手にした彼が私から離れている途中だった。
「ほら、とれたよ」
そこで彼の行動の意図を知る。髪についていた木の葉を取ってくれたようだ──とは理解しても、触れた指だとか、その熱だとかを思い出して上手く言葉が出てこない。
上がる熱を持て余すばかりで冷まし方を知らないから加速していくばかりの鼓動に上手く呼吸が出来なくなる。
「あり、がとう」
声が震えて拙い言葉しか紡げないのが余計に恥ずかしいのだけれど、彼はそれでもいつもの様に微笑んでいて。
「いえ。気を付けて帰りなさい」
彼への想いをさらけ出してしまうくらいのかっと染まりきった頬も、耳も。今は茜色が全てを隠してくれればいいと思った。