撮りとめた愛の色
「季節の変わり目なんかはそうだが冷え切ってしまえば寒さにも慣れたものだよ」
「慣れたくないってそんなん…」
「うーん、この格好だとよく分かるんだが」
彼の言い分がわからないでもないけど、私も汰人の言葉に一票とばかりに頷く。確かに気温変化の激しい季節の変わり目の方が人は寒さを感じやすいものだ。
けれどそれを抜きにしても彼の格好は薄いというかなんというか、私からすれば寒そうにしか見えない。
「体温とかが高いんじゃあない?」
「あーそうかも。実際どうなワケ?」
私の言葉にピンと指を弾いてみせた汰人はそのまま指先を彼へと向ける。彼は首を傾げながら「いや?」と不思議そうに返事を返しただけだった。
「それを言うなら桔梗もそうじゃないかい?」
「え?私?」
「だってほら、いつも触ったときちょっと熱いから」
「、それは」
体温が高いとかそういう事じゃなくて!と思いながら言葉をつまらせた。
「それは?」
「………っ」
それは私に触れるのが彼だからだ。
「……先生。セクハラみてぇだけど」
「え、そうかい?」
汰人はなかば呆れ加減に呟いてグラスの中身を煽るように喉を鳴らした。