うさぎの学習
26体重の一番軽い女
●私●
日曜日~
私は今、いつもの待ち合わせ場所である、駅前に立っていた。
ヤッパ来てしまった。
罪悪感よりも、腹立たしさよりも……恋心が勝ったから。
黒田の車がすっと現れて、私の前に止まった。
何の躊躇いもなく、私は助手席に乗り込む。
そこは個室になった焼き肉屋さんだった。
黒田は、網上のカルビをひっくり返しながら上機嫌だった。
その機嫌の良さが、尚更、私の怒りをあおった。
「何や?久美ちゃん?元気ないなぁ?」
「…………」
どんなに高級な肉を口に入れたって、何の味もしない、私の気持ちはブルー。
「まだ……怒ってんのか?」
「…………」
「まだ、誤解が解けてないみたいやなぁ」
何が誤解よ!
私はもう、裏のからくり、全て知ってんだから!
とぼけた振りして……
肉の脂、口の横につけて、本当に憎たらしい男。