うさぎの学習


次の日、ウチが朝から取り敢えず向かった先は歯医者、前歯の修正の為。


それから黒田和男と名乗るおっさんに発信した、
ウチはもう既に、ケー番を教えて合っていたし、
「電話してきたら、いつでも同伴したるから」って言われてたから。



「ウチ、ユリアやけど……今日、同伴してくれる?」


「よっしゃ!ほんだら、3時に待ち合わせしようか♪」


同伴で店に入るのは8時やったから……3時からやったら5時間もある、
これは何を意味するのか?ウチはもうその時、全てを知っていた。


「ええよ、わかった、じゃ3時に」



キャバに入り数週間で、ウチはこの世界のしくみを悟った。

お水の世界で、客はホステスを口説く。

体は提供せずに、上手く言葉で遊ばせ、さらりと交わす、
エッチをさせそうに見せかけて実際はさせない、
その男のエロ心理を上手に利用して、お店に通わせる、
これって、キャバ嬢の一般マニュアル。

せやけど、そんなもんは全部嘘や、それは表面上や……って事を見抜くのに、ウチは、そんなに時間はかからんかった。


そんな綺麗事で通用するような世界と、ここは違う。




 
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