うさぎの学習


お母さんはバッグから何か……封筒みたいな物を取り出し、テーブルの上に置いた。


封筒に5人の目線が集中する。


    何?


「どうか……これでご勘弁して頂けないでしょうか?
暫くは休養出来る、充分な額は入れてありますので……」



はあ?この人は、いったい何を言うてるの!?



「直樹から聞くには、もう5ヶ月目を過ぎたとかで……
もしも受け付けて頂ける病院がなければ、こちらで知り合いの病院を紹介させて頂きますので……
そこなら、今の時期でも問題なく、処置をして貰えるかと……」


処置?処置って何?
処置、処置、処置って!?


ウチの横にいるばあちゃんは、身動き一つせずに、ただ黙っていた。


次のセリフの出番は、お父さんやった。

「お互いに歳がまだ若過ぎる、一時の気まぐれで決める問題ではない……
山下さん、お分かり頂けますよな?」


はぁ?お父さんも、いったい何を言うてるん?


お父さんは、ばあちゃんの反応を窺っていた。



 
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