うさぎの学習


ウチは横目でばあちゃんを見た。


ばあちゃんは固まったまま、まるで石像のように……


無反応なばあちゃんに、お父さんはまた話し出した。



「お互い、これから将来がありますさかいな……
この直樹も大学受験を控えて、今は、好いた惚れたと言うてる時期やない、
なぁ満月さん?」


お父さんがウチをじっと見た。


「直樹だけやない、満月さんとやらも、聞けば、まだ中学生……夢も一杯ありますやろ?
分かってくれますな?
何も2人の間を反対してる訳やない……
お互いに、今は子供作るよりも、もっと大事なすべき事があると……」


ウチは噛み締めていた唇を緩ませ、直樹を見た。


直樹は、さっきから下を向いたままで……
何で?ウチの視線を何で、受け止めてくれへんの?


   プッ……


その時、ウチの我慢の糸は切れた。



「直樹……なぁ直樹……直樹はどない思てるの?」




 
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