うさぎの学習


ばあちゃんは、新しい風呂釜に替えるお金を銀行から出金してきた。


先の不安なんて何のその、ばあちゃんは全くどこ吹く風で、いつもの態度と何の変わりもなかった。

風呂釜が故障してから、風呂に入ってない3日目……


「満月~銭湯へ行こか?」

と、ばあちゃんが言った。



70年生きてきた古びた体と、まだ生まれたてホヤホヤの体、それとウチを含めた3人は大きな湯船に浸かった。



ばあちゃんは、リウマチで曲がった指を、1本1本……湯の中で、一生懸命、丁寧にゆっくりと伸ばしていく。



指は曲がり過ぎて……
脳の命令だけでは、真っ直ぐにならなくなっていた。


ばあちゃんと風呂に入るのは久し振りやった……
一緒に湯船に浸かって気付いた、ばあちゃんはこうやって、風呂の中でいつもリハビリしてたんや、誰も見ていない所で1人きりで……。


その時、つくづく思ったよ、自分のアホさ加減を……。





 
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