うさぎの学習
キティの肌に、パウダーをパタパタとたたき……
抱っこヒモで前にしっかりと抱き、ばあちゃんとウチは銭湯から出た。
表に出たら、まぁるいお月様が光ってた。
今日は満月や……
ばあちゃんが言う。
「なぁ満月……お前の名前の由来、知ってるか?」
「知らん」
「お前の母ちゃんがな、お前を生んだ時……
逆子でな、ほんまにえらい難産やった、陣痛から2日もかかったんやで、
やっとのこさ出てきた時に、暑いから窓開けて~って叫んでな、
そん時や、窓から絵に書いたような満月が見えて、暗い夜を照らしてくれていた、
その時に付けられた名前が、満月と書いてみづき……
この世に一つしかない、大事な命やって言うて、母ちゃんは泣いてた」
洗面器に入れた石鹸箱がカタカタ鳴って……
ウチに抱っこヒモで繋がれているキティが、大きなあくびを一つした。
そして……
ウチの胸の中でスヤスヤと眠ってしまった。