うさぎの学習


ウチは……
なぜか泣きたくなってきて、涙が、涙が込み上げてきて、ポロポロ零れてきて………


せっかくパウダー振った、フワフワのキティの頭の上に、涙の雫が落ちた。


何も知らんと気持ち良く眠るキティの口元が笑ってる。


夢でも見てるんかな?

何の夢見てるんかな?


大人になったらな、人生ってけっこう辛いもんがある……
なぁキティ~でもな、お前には出来るだけ哀しみを少なくするように、母ちゃん頑張るからな。


この世にたった一つしかない、大切な命やもんな……
ウチの母ちゃんも、ウチを生んだ時にそう思ってくれたんやな。


命ってほんまに大事やもんな、
ごめんな、キティごめんな……
一時でも、お前を生まんかったら良かったやなんて思った、母ちゃんを許してな。


ウチの涙に気付いたばあちゃんは、いきなり早足になった。

ウチよりも……前に前に歩いて行った。


ばあちゃん、どうしたん?


ばあちゃんも、泣いてるん?


もしかしたらウチに涙を見せんが為に、先を、歩いてんの?


涙目で暗い空を見上げたら、白いお月さんがウチらを照らしていた。




 
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