うさぎの学習


中高生は私の向かいに座り、タバコを手に取ると火を点けた。


銘柄はセブンスター。


あんた、どう見たってまだ二十歳になってないでしょ?!


……ってか、親は知ってるの?


だから背が伸びなかったんじゃないの?


で、何で今、私の前にいる訳?


中高生が、ブァァ~と白い煙と共に、声を吐き出した。


「で、あんた、この仕事経験あんの?」


……何で、こんな子供に私……
面接されてるんだろう?


オーナーはいったい何処にいんのよ?


と思いながらも、返答待っている中高生に、私は答える。


「いえ……経験はありません。お昼の仕事しかした事がなくて……」


「酒は?飲めるん?」


「少しぐらいなら……」


「今な、毎日来てくれるレギュラーの子を探してんのや……
毎日来れるんか?」


10歳ほども年下に見えるこんな子供に、タメ口で言われるなんて……もう、どしゃ降りに打たれてもいいから、店の外に飛び出したい気持ちになった。




 
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