嘘つきなキミ
*
(今頃あいつ、何してんのかなぁ)
営業中だが、平日だからかあまり客が来ない店にケンはいた。
端の方でポケットから携帯を取り出し、視線を落とす。
無残に割れたディスプレイ。
保護シートを使用してなければ破片が飛び散っていたくらいだ。
沈黙した携帯をしばらく見つめる。
結局、自分が家を出てから連絡も来なかった。
忙しい父や兄は、自分がいないことすら気づいてなかったのかもしれない。
母も、そんな忙しい父に気遣って、居なくなったことを言えないでいるのかもしれない。
弟は、きっともともと自分に興味もなかったのかもしれない。
けど、それを責める気にも、今はならない。
逃げだした自分が、家族をとやかく言う資格もない気もしたから。
「……ちょーどいいや!」
ケンはそう漏らして携帯をしまった。
こんな携帯(モノ)で、何かを期待しているような自分も本当は変えたかったから。
それならいっそ、こんなふうに壊れて、リセットした方がよかったのだ。
顔を上げたケンは、吹っ切れた目をしている。
もう少しゆっくり考えて、それからいろいろと決めていこう。
誰に言われるわけでもなく、誰に流されるわけでもない。
外の目も気にすることもせずに、自分自身が考える。
なぜ、今までそんな簡単なことが出来なかったのだろう。
少し前の自分を思い出して、苦笑した。
「世界は広いよなぁ」
店内を眺めながら、ケンは呟いた。
(今頃あいつ、何してんのかなぁ)
営業中だが、平日だからかあまり客が来ない店にケンはいた。
端の方でポケットから携帯を取り出し、視線を落とす。
無残に割れたディスプレイ。
保護シートを使用してなければ破片が飛び散っていたくらいだ。
沈黙した携帯をしばらく見つめる。
結局、自分が家を出てから連絡も来なかった。
忙しい父や兄は、自分がいないことすら気づいてなかったのかもしれない。
母も、そんな忙しい父に気遣って、居なくなったことを言えないでいるのかもしれない。
弟は、きっともともと自分に興味もなかったのかもしれない。
けど、それを責める気にも、今はならない。
逃げだした自分が、家族をとやかく言う資格もない気もしたから。
「……ちょーどいいや!」
ケンはそう漏らして携帯をしまった。
こんな携帯(モノ)で、何かを期待しているような自分も本当は変えたかったから。
それならいっそ、こんなふうに壊れて、リセットした方がよかったのだ。
顔を上げたケンは、吹っ切れた目をしている。
もう少しゆっくり考えて、それからいろいろと決めていこう。
誰に言われるわけでもなく、誰に流されるわけでもない。
外の目も気にすることもせずに、自分自身が考える。
なぜ、今までそんな簡単なことが出来なかったのだろう。
少し前の自分を思い出して、苦笑した。
「世界は広いよなぁ」
店内を眺めながら、ケンは呟いた。