嘘つきなキミ
*
「おはようございます」
「はよ…」
パタンとロッカーを閉じて楓は挨拶をした。
「…眠そう…ですね?」
「昨日は隣室からの騒音がな…」
「隣室…」
二人きりのロッカー室。
しかし楓はそこまで緊張も警戒もせずに話をしていた。
「…もしかして、ケン…ですか?」
「…酒でも飲み過ぎたのか知らないけど」
それは、今居る相手がレンだからだ。
レンは唯一、同じホストという立場で楓の秘密を知る男。
その、“男”でありながら、警戒せずに居られるのはレン自身の“女に興味がない”という態度。
そして、楓の絶対的存在、堂本がレンを信頼しているのを知っているから。
まして、この間、堂本から『初めて拾ったのはレン』と言っていたのを思うと、密室に二人きりになったところでなんの心配もせずに居られた。
「あの…」
楓の問い掛けに、レンは無言で視線を向けるだけ。
その綺麗な顔立ちの瞳に見つめられて、楓は言葉を飲んだ。
「あ、その……」
レンに堂本のことを聞いてみたい。
多分、かなり昔からの付き合いのレンなら、堂本について色々詳しいのではないか、と。
かと言って、具体的になにを聞きたいと、固まっている訳ではなく。
漠然と、堂本とレンのこと。―――堂本の背景が気になるだけだから、なにをどう質問すればいいかわからなかった。
その微妙な間の時に、大きくガチャッとドアが開く音が割って入った。
「おはようございます」
「はよ…」
パタンとロッカーを閉じて楓は挨拶をした。
「…眠そう…ですね?」
「昨日は隣室からの騒音がな…」
「隣室…」
二人きりのロッカー室。
しかし楓はそこまで緊張も警戒もせずに話をしていた。
「…もしかして、ケン…ですか?」
「…酒でも飲み過ぎたのか知らないけど」
それは、今居る相手がレンだからだ。
レンは唯一、同じホストという立場で楓の秘密を知る男。
その、“男”でありながら、警戒せずに居られるのはレン自身の“女に興味がない”という態度。
そして、楓の絶対的存在、堂本がレンを信頼しているのを知っているから。
まして、この間、堂本から『初めて拾ったのはレン』と言っていたのを思うと、密室に二人きりになったところでなんの心配もせずに居られた。
「あの…」
楓の問い掛けに、レンは無言で視線を向けるだけ。
その綺麗な顔立ちの瞳に見つめられて、楓は言葉を飲んだ。
「あ、その……」
レンに堂本のことを聞いてみたい。
多分、かなり昔からの付き合いのレンなら、堂本について色々詳しいのではないか、と。
かと言って、具体的になにを聞きたいと、固まっている訳ではなく。
漠然と、堂本とレンのこと。―――堂本の背景が気になるだけだから、なにをどう質問すればいいかわからなかった。
その微妙な間の時に、大きくガチャッとドアが開く音が割って入った。