週末シンデレラ


* * *


その次の日も、係長の様子はおかしかった。

「ワイシャツとネクタイが昨日と一緒だよ? やばいって」

昼休みの食堂で、美穂が悲鳴をあげる。

係長は、パソコンへ向かう姿勢こそ背すじが伸びていていつも通りだけど、服装は昨日と同じだし、ミスも多いらしい。

見かねた経理課長が早退するように勧めていたが、係長は自分では異変に気づいていないのか断っていた。

「彼女の家にお泊りじゃないのっていう人もいるけど、事情を知っているわたしからすれば、あの状態は心配だわ。あんまり汗をかいてないのか、臭わないけどさぁ……さすがに明日も同じだったら見てられないよ」
「うん……」

美穂の言葉に小さくうなずく。

もし、家でもあんな調子だったら、ご飯を食べてないんじゃないかな……。

そう考えると、身体が心配になる。

メールのひとつでも送れば、元気になってくれるかもしれないのに、そんな簡単なことさえできない。

だって……もう“サトウカオリ”は、やめるって決めたから。

決めたはずなのに、係長の頼りない姿を見ると揺らいでしまう。


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