週末シンデレラ
「か、かけてこい、っていうこと……? それとも、いたずら?」
あの係長にかぎって、いたずら電話なんてしないと思うけど……どういう意味があるにせよ、こんなことされたら気になるじゃない!
「べつに会うわけじゃないんだし……い、いいよね。だって、気になるんだもん。それにもし、『間違ってかけちゃっただけ』って言われたら『ああ、そうですか』って、すぐに切ればいいし、いたずらだったら早めに注意しておかなきゃいけないし」
誰に言うわけでもなく、自分自身に言い訳をする。それは、ひとりの部屋に虚しいほどよく響いた。
……よし、かけるぞっ。
床に落としたままだったスマホを拾い上げ、ひとつ深呼吸をした。
履歴から係長の番号を呼び出し、発信ボタンを押す。コール音が鳴るたびに、わたしの心音も大きくなっていった。