週末シンデレラ


「黙っていたことも、厳しい上司だと言ってしまったことも、すみません。でも、わたしの話を……」
「話なんて聞きたくない」
「都筑係長……っ」
「これだから、女は……信じても、やっぱり裏切る」
「……やっぱり?」

係長の言葉に違和感を覚えた。自分に対して、というよりは、女性に対して嫌悪感を抱いている。

しかも「やっぱり」ということは、過去にもなにかあったということ。

もしかすると、一也さんが言っている「トラウマ」と関係しているのかもしれない。

「係長、わたしも騙したくて、嘘をつき続けたわけじゃないんです」
「帰ってくれ」
「係長、聞いてくださいっ」
「帰ってくれ。お願いだから……カオリさんの格好のまま、係長と呼ばないでくれ」

受け入れを拒否するように、ウイッグを差し出してくる。うなだれた姿を見て、今日は話し合える状況じゃないと思った。

このまま引き下がりたくないけど、係長の様子を見ると強く言えない。

もう二度と向き合ってくれなかったらどうしよう。それは嫌だけど、そうなったら係長と付き合うことは諦めるしかない……。


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