週末シンデレラ
五章:過去と嫉妬
翌日。鏡を覗くと目も当てられないほどの顔をした自分がいた。
帰ってから一晩中泣いていたせいで、目蓋が腫れている。
冷やしたら、夜までに引くかな……。
昨日、係長に受け入れられなかったことが辛くて、ひとりでは耐えられず、麻子に電話をした。
そうしたら今日の夜、一也さんと一緒に会ってくれることになった。
ただ、一也さんはわたしが係長に嘘をついて近づいていたことを知らないので、そのことについては麻子から事前に説明をしておいてもらう。
係長について、なにかわかったらいいけど……。
濡らしたタオルを目に押し当てながら、係長の歪んだ顔を思い出していた。
ふたりとは二十時から、麻子の職場の近くにある居酒屋で会った。
サラダや揚げ物など、テーブルには美味しそうな料理が並んでいるけど、食欲がなくて手をつけられていない。
ふたりもわたしを気遣ってか、あまり箸が進んでいないようだった。
「女の子って、結構変わるんだね……」
向かいに座った一也さんが、スッピンでウイッグをつけていないわたしを、しげしげと見ながら呟く。
目蓋が腫れたままなのが恥ずかしくて、わたしは隠すようにうつむいた。