週末シンデレラ
わたしが突然やってきたことに、係長はもちろん、その周りにいる人たちも驚き、戸惑っている。
「ぶ、部長……なにをしてるんですかっ」
焦りながら問いかける係長に、わたしの後ろにいた部長はにんまりと笑った。
「都筑くんにいい子を見つけてきたんじゃないか。どうだ、この子を彼女に」
「か、彼女!?」
なんてことを言うのかと、つい声をあげてしまう。係長は頭を抱えて、うなだれてしまった。
「余計なことを……。部長、かなり酔われてますね?」
部長と仲がいいからか、係長の言動に遠慮がない。迷惑だと言わんばかりにため息をつかれ、胸が痛くなる。
「酔ってない。こんなにかわいい子を見つけてきたんだから、褒めてもらいたいくらいだぞ。ほら、どうだ。都筑くんとお似合いだろう?」
部長は意気揚々と、向かいに座っている部長代理や武田さんにたずねた。
部長代理たちは愛想笑いを浮かべてうなずいてくれたけど、武田さんはわたしに鋭い視線を送ってくる。
きっと、後輩であるわたしが、自分が好きになってフラれた相手と、冗談でもお似合いだともてはやされ、面白くないのだろう。