週末シンデレラ
「だから、裏切られることには慣れている。きみが……“カオリさん”が、『ほかの人と違う』と買いかぶった俺に否があるんだ。きみが申し訳なく思うことはない」
「……そんなの、嫌です」
係長はすべて話してくれた。
なのに、強く突き放された気がして、怒りとも切なさともつかないものが、胸に押し寄せてくる。
「都筑係長のことが……好きなんです。だから、そんなにアッサリ切り捨てられるのは嫌です」
係長を助けたいと思った。わたしができることなら、なんでもしたいと思った。
その思いの根本は「好き」という感情だと、せめて、それだけでもわかってほしい。
「きみが、俺を好きだって……? 信じられない」
係長は静かに首を振ると、踵を返した。去って行く後ろ姿が、苦しそうに見える。
「……信じようとも、してないくせに……」
想いが伝わらないことは、悔しくて、悲しい。だけどそれ以上に、小さくなる背中を抱きしめたいと思った。