週末シンデレラ
ご飯は魚が美味しい和食のお店だった。係長が「よく営業部長と来るんだ」と教えてくれた。
食べ終えてお店を出ると二十二時を回るころだった。
明日も仕事があるのでそろそろ帰ったほうがいいとわかっているのに、心はまだ一緒にいたいと思っていた。
「少し、歩かないか?」
「……はい」
係長も同じ気持ちでいてくれたのだろうか。わたしは嬉しくて、大きくうなずいた。
駅までの道を遠回りして歩き、途中にある大きな公園のベンチに腰をおろす。
公園を囲うように木々が生い茂っているけど、近くにライトが設置されているのでほんのりと明るかった。
「加藤さん……今まできみを疑ったり、ヒドイことを言ったりして……すまなかった」
「そ、そんな……」
「昼休み……本当は、武田さんがきみたちのことを覗いているとき、すぐに止めに入ろうかと思ったんだ」
「……そうだったんですか?」
ポツリと話し始めた係長の顔を見ると、切なげに眉根を寄せていた。