週末シンデレラ
買い物を終えて外に出ると、あたりは暗くなっていた。
ぼんやりとした街灯の下を歩き、駐車場へ戻る。係長の両手は、わたしへのプレゼントで塞がっていた。
「今日は……というか、いつもありがとうございます」
車へ乗り込んでお礼を言うと、係長は静かに首を振った。
「俺も楽しかったから。それより、夜ご飯はどうしようか。なにか食べたいものはあるかな?」
「食べたいもの……ですか」
ワンピースやパンプス、ほかにもアクセサリーまで買ってくれた。これ以上、なにかしてもらうのも悪い気がする……。
「あ、夜ご飯……わたしが作ります!」
わたしの申し出に、係長は目を丸くした。
「それは嬉しいけど……いいのか?」
「はい。簡単なものしか作れませんけど……係長をお腹いっぱいにしてみせます」
拳を握って言うと、係長はフッと瞳を細めた。
「じゃあ、お願いしようかな。俺の家で大丈夫?」
「もちろんです。わたしの部屋のキッチンよりも、広くて使いやすそうでした」
「そうか、それならいいな。帰りにスーパーへ寄って食材を買おう」
係長は車を発進させると、家のほうへと走らせた。