週末シンデレラ
『土曜日は、一日空いています。よかったら、この間のお礼をさせてください』
これなら、わたしも会いたいから……とは思われないはず。うん、大丈夫。
ひとりで納得し、送信ボタンを押した。
断わるときより、随分と気持ちが軽いことに気づく。それどころか、胸がワクワクして弾んでいる。
これじゃあ、今日も寝られないかも。
クスリと笑いながら、係長の返信が遅いことを予想して、ミルクをたっぷりと混ぜたコーヒーを入れる。半分まで飲んだところで、メールがきた。
『この間とはサンダルのことかな? それなら気にしなくていいから。また連絡する。誘いを受けてくれて、ありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございます……っと。あ、麻子にメイクを頼まないと」
係長に返信し、土曜日にまた“カオリ”になることを考えて、麻子にもメールを送った。
土曜日はなにを着ていこう。せっかくだから、係長からもらったミュールを履きたい。
この前、麻子と買い物をしたときに薄ピンク色をしたシフォンのワンピースを買ったはず。それなら合うかな……。
わたしはベッドに入ると、係長の隣に並ぶ自分を想像しながら、ゆっくりと目を閉じた。