週末シンデレラ


* * *


都筑係長と会う約束をした土曜日。

わたしは駅前にあるデパートのショーウィンドウを覗き込み、ガラスに映った自分を確認していた。

変じゃないかな……。

ゆるいウエーブがかかった長い髪も、眼鏡をとって華やかにメイクした顔も、やっぱり慣れない。

係長とは十五時に待ち合わせをしていた。

おかげで、麻子の美容院ではゆっくりできたし、服装を何度も鏡の前でチェックすることができた。

それなのに、いざ待ち合わせ場所に到着すると、服装もメイクもどこか変な気がして、ガラスに映った自分をしつこく見てしまう。

「うーん……グロスの色、ピンクすぎたかなぁ……」
「ガラスでは、色はあまりわからないと思うんだが」
「きゃっ」

コホンと咳払いをしてかけられた声に、わたしは驚いて声をあげる。振り返ると、気まずそうに視線を逸らした都筑係長が立っていた。

へ、変なところを見られてしまった……!

「つ……都筑さん。あ、あの……っ」
「遅くなって、すまない」
「い、いえ……わたしが早く着きすぎただけなので」

は、恥ずかしい……。


< 75 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop