週末シンデレラ
* * *
都筑係長と会う約束をした土曜日。
わたしは駅前にあるデパートのショーウィンドウを覗き込み、ガラスに映った自分を確認していた。
変じゃないかな……。
ゆるいウエーブがかかった長い髪も、眼鏡をとって華やかにメイクした顔も、やっぱり慣れない。
係長とは十五時に待ち合わせをしていた。
おかげで、麻子の美容院ではゆっくりできたし、服装を何度も鏡の前でチェックすることができた。
それなのに、いざ待ち合わせ場所に到着すると、服装もメイクもどこか変な気がして、ガラスに映った自分をしつこく見てしまう。
「うーん……グロスの色、ピンクすぎたかなぁ……」
「ガラスでは、色はあまりわからないと思うんだが」
「きゃっ」
コホンと咳払いをしてかけられた声に、わたしは驚いて声をあげる。振り返ると、気まずそうに視線を逸らした都筑係長が立っていた。
へ、変なところを見られてしまった……!
「つ……都筑さん。あ、あの……っ」
「遅くなって、すまない」
「い、いえ……わたしが早く着きすぎただけなので」
は、恥ずかしい……。