週末シンデレラ
案内してくれたお店は、映画館から歩いて二十分のところにあるイタリア料理のレストランだった。
レンガの壁に細工が施された鉄の扉。
上品な店構えの脇には、メニューがスタンドに立て掛けられ、ライトで照らされている。
「ここって、最近できたばかりで人気のお店ですよね。うわぁー……嬉しい」
一度来てみたいと思っていたけど、女友達には彼氏と行きたいからと断られていた。
しかも、予約さえ取りにくいと聞いたことがあったので、人気が落ち着いてから……と、諦めていたところだった。
「どこがいいかわからなかったんだけど、ネットで調べたら評価がよくて、映画館から歩いて行ける距離だったから。ほら、入ろう」
係長が扉を開けて、中へ入るよう促してくれる。
店内は照明が落とされ、床やカーテンはえんじ色で揃えられていて、アンティークの置物が飾られている。
店員に予約の名前を告げると、窓際の席へ案内してくれた。