週末シンデレラ


どんな返事がくるのか、まったく予想がつかない。わたしはゴクリと喉を鳴らし、メールを開いた。

『わかった』

「え……それだけ?」

思わず声が漏れる。

またあとからメールが届くんじゃないかと思い、何度も受信ボックスを更新したけれど、一時間経ってもなにも届かなかった。

「わかったって……それだけなんだ。この前は何度も食い下がってきたのに……」

平日がダメなら、土曜日の昼でも夜でも構わないと言ってきた。わざわざ昼休みに、本当にいるのかどうかもわからないベーカリーショップまで探しにきてくれたこともあった。

それなのに、終わるときはこんなにあっさりしている。

でも、これでいいんだ。なにも聞かれないし、嘘を重ねなくていいんだから……。

もう“カオリ”にならなくてもいいと思うとホッとした。

だけどそれと同時に、初めて感じたときめきを、うしなってしまった寂しさが残った。


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