週末シンデレラ
* * *
次の日。わたしは憂鬱な気持ちで出勤した。
都筑係長の顔、見たくないなぁ……。
係長のことを考えないようにしようと思っても、会社で顔を見てしまうと、どうしても“カオリ”として会っていたときのことを思い出してしまう。
そのたびに、もう一度どこかへ一緒にでかけたい……なんて、願ってしまうのだ。
昨日、係長はどんな気持ちだったんだろう。
席へ着き、パソコンの間から向かいにある経理課を見る。係長はいつも通り、無表情のまま背すじを伸ばして座っていた。
……よかった、落ち込んでなくて。
そう思うのに、“カオリ”がすぐに忘れ去られるような存在だったのかと思うと、少しだけ悲しくなった。
まぁ……“カオリ”なんて実際存在しないんだから、忘れられて当たり前だよね。
嘘をついたのだから、自業自得でもある。そんなことを思いながら、仕事を始めると。
「つ、都筑係長……大丈夫ですか!?」
美穂の声が聞こえてきた。わたしがハッとして顔をあげると、美穂の足元に係長が倒れ込んでいた。