週末シンデレラ
「係長が危なっかしいって、どういうこと? ゴミ箱につまずいただけじゃないの?」
「うん、それだけじゃなくて書類の数字を間違えたり、経費の配分を間違えたり……今日はなぜかミスばっかりしててさ。まぁ、いつもが真面目でミスもないから、課長も部長も怒らないんだけどね」
「そうだったんだ……」
見た目は普段と変わらなかったし、総務課に関わる仕事がなかったので、全然気がつかなかった。
わたしが黙り込んでいると、美穂は探るような視線を向けてきた。
「ねぇ、もしかして……詩織となにかあったの?」
たずねてきているけれど、美穂の視線からは確信に近いものを感じる。
「な、なんで?」
「詩織も元気がないからよ。ふたり揃って様子がおかしいんだもん、疑いたくなるよ」
わたしも傍から見れば、係長より様子がおかしかったのかな。
なにもかも知っている美穂に隠す必要もないと思い、すべて話すことにした。