笑顔のキミ
山田君は、すごく地味。


髪の毛はボサボサだし、真ん丸ビン底メガネ。
笑いのドストライクだよね。



でもね、声だけ聴けば惚れちゃうんだって。



「ほらぁ、席に着け始めるぞ」



しばらく窓を眺めていたら、次の授業の先生がきた。

教科書を出そうとしたけど、鞄にも机にも入っていなかった。



「山田君、私教科書忘れたから見せてもらえる?」


隣の席の山田君に声をかけたら、教科書を差し出してきた。
いきなり教科書を差し出された私はびっくりした。


「あの、山田君!?」


焦っている私に山田君は小さな声で言った。



「使っていいよ。俺寝るから必要ないしね」



いい声で囁かれた。そして最後はニコっと笑って。







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