KIGEKI
「後は・・・看板かー。」
ふぅと汗をぬぐいながら、看板に描くデザインを見る宮澤。
正直なところ、彼女に絵のセンスはない。しかし、明日は飾り付けと最終確認などをして帰るだろうから、今日中に看板を仕上げなくてはいけない。
運の悪いことに、今日はクラスメイトそれぞれに用事があり、第1会議室にいるのは宮澤ただ1人。
絵の具と水の入ったバケツを用意して、下書きはしてくれている看板を見つめる。
「やるしかない!!やるしかない!!」
自分で自分を励まして、意を決して筆を持つ。
「いざっ尋常に勝負!!」
誰と戦うのかわからないが、なんとなく一番気合の入る言葉と思って考えたときに、口から出た言葉だった。
ベタベタと塗っていく、服に絵の具がとぶ。汚れると思っていたので体操服に着替えておいてよかったと少し安心しながら作業を続ける。
「あれ?ここの色薄すぎ?」
「というか、ムラありすぎ。」
独り言のつもりで言ったのに、宮澤の後ろから、こたえが返ってきたので、彼女はあわてて振り返った。